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特殊なケース

年離婚

 「熟年離婚」という言葉も一般化してきたし、子どもも成人して自分の手を離れたし、年金分割制度も整備されたし、離婚に踏み切ろうか…と考える方もおられるかもしれません。子どものためと我慢していたけれど、思い切って離婚をすれば、精神的に解放されるというメリットもあり得ます。

 一方、双方が年金で生活するような年齢になっていれば、年金だけで暮らしていけるのか、分与財産があるかなどについてはよく検討が必要です。そもそも、婚姻期間が長いと、離婚原因が認められにくい傾向にありますから、離婚の合意に至らなければ、離婚自体が難しい場合もあります。

 離婚のメリット・デメリットを考え、熟年離婚に踏み切るか否かを検討すべきかもしれません。

 離婚を検討する場合は、生活を担保できるか否か、財産分与の検討が重要になってくるでしょう。

 扶養的財産分与の視点も忘れずに検討する必要があるでしょう。
 相手方に扶養能力(収入と資産)があること、請求側の要扶養性を十分に立証することが必要です。住居の確保費用と必要な扶養期間、扶養の態様を明確にして主張を検討しましょう。
 一方の住居確保の必要から、他方が所有する建物等に使用借権や賃借権を設定することもあります。

 オーバーローンの持ち家があれば、それをどうするかも問題になります。
 通常、不動産を取得する方がローンも負担することになるでしょう。
 ローンの付け替えが必要なときは、当事者間で、金融機関と交渉することが必要になる場合もあります。
 これが不可能なときは、現実の支払担当者を決めた上で、不履行の場合も含めた金銭処理を考えることになります。

 「DV(ドメスティック・バイオレンス)」とは、家庭内暴力のことをいいます。家族である夫や妻に対する身体的暴力や精神的暴力のことをいうものです。

 暴力が問題になる場合、まずは身の安全を確保することが必要です。暴行罪・傷害罪に該当しますから、警察対応を求めることも検討すべきです。さらに、DV保護命令の手続も検討すべきでしょう。

 DV保護命令とは、配偶者からの身体への暴力を防ぐため、裁判所が配偶者に対し、ご依頼者様に近寄らないよう命じる決定です。接近禁止命令、退去命令、子への接近禁止命令、親族等への接近禁止命令、電話等禁止命令などの発布をしてもらうことができます。
 裁判所からの保護命令に反すると、配偶者は、懲役や罰金などの刑が科されることになりますから、接近禁止などが担保されることになります。
 密室で生じやすいDVについて、立証の問題はつきまといますから、どのように裁判所に伝えていくか、どう手続を利用するかは、よく検討していかなければなりません。

 身体的暴力などは、離婚原因になるとともに、慰謝料の原因にもなりますから、これらも検討することになります。

ラルハラスメント

 婚姻生活において、以下のような出来事はありませんか。

  • 家事の不出来や育児について、嫌味をいう
  • 無視する
  • 一緒に食事しない、会話しない、顔をあわせないなど、あからさまに避ける
  • 子どもの前で怒鳴る

 人間的な価値を貶めるような行為を、モラルハラスメントなどということがあります。精神的なDVの一種といってもよいでしょう。

 これらは、婚姻関係にあるからといって、許されるものではありません。
 しかし、発言した当の本人が重く受け止めていないことも多く、家庭内という密室でのやり取りであって、言った・言わない、やった・やらないの水掛け論になってしまうことも多いです。
 立証の問題に加え、暴行などわかりやすい有形力の行使があるわけではないですから、離婚原因にあたる、慰謝料の発生原因にあたることを、強く主張していく必要があるでしょう。

トーカー

 ストーカーに関して、深刻な被害が生じている事例があることは、ご承知のとおりです。身の安全を確保するためには、警察に相談すべきと思います。

 ストーカー規制法に定められたつきまとい等を繰り返す者には、警察が、その者に対し、「ストーカーをやめなさい」という警告をすることができます。

 こうした、刑事的な対応に加え、慰謝料請求などの民事的な請求も検討できます。

ベンジポルノ

 リベンジポルノとは、離婚した元配偶者や別れた元交際相手が、相手から拒否されたことの仕返しに、相手の裸の写真や動画など、相手が公開するつもりのない私的な性的画像を無断でネットの掲示板などに公開する行為のことをいいます。

 リベンジポルノ防止法という法律に違反していますし、刑法上のわいせつ物公然陳列罪、名誉毀損罪などにも該当し得ます。

 まずは警察に相談し、捜査を促した上、削除依頼を検討したり、犯人が分かれば損害賠償請求を検討したりと、適切な対応を検討していくことになると思います。

暴力被害

 配偶者だからといって、何をしてもよいわけではありません。
 性暴力被害を受けた場合、刑法上の強制性交等罪に該当し得ますから、早期に警察に相談しましょう。

 特に性暴力は、他の犯罪よりも一層、誤った情報が氾濫し、正しい情報が伝わっていないことなどから、二次被害に遭う方も多いです。
 性暴力に対する二次被害を、特に、「セカンドレイプ」と呼ぶこともあります。

 伊藤詩織著「Black Box」(文藝春秋)は、夫婦間のものではありませんが、性暴力についてリアルに描かれており、衝撃的な内容です。性暴力による被害が生じない、拡大しないよう、そのような社会が訪れるよう、切に願ってやみません。